アメリカでは、この「Wマートーテレビジョンーネットワーク」に、来店客数が少ない月曜日の夜でも大勢がテレビの前に群がっているという。
値札がない、在庫一掃セールや日替わりセールがない。
全店舗にP0Sシステムが導入されているが、個別の商品には値札が貼られていない。
いくらか分からないから商品の価格を確認しようとする場合には、店内に設置されたセルフスキャナーを利用すればよい。
すぐに価格が分かるようになっている。
これもW社の”ワナ”だ。
スキャン頻度のデータを読み取ることで商品陳列棚の価格表示や陳列場所の改善を行うのである。
買いやすいか買いにくいかを色んな角度から検証するのである。
1962年に創業者サムーWトンは「Wマートーディスカウントーシティ」を開店した。
店頭には「安く売ります」と「満足を保証します」という大きな文字がデカデカと表示されていた。
これが「EDLP=毎日低価格」の始まりだ。
この時Wトンは44歳。
すでに「粗利益率を半分にしても販売個数が3倍になれば、最終利益は増加する」という哲学を確立していた。
「いつでも安く販売すれば、顧客は特売を待つまでもないので、いつも店にやってきておカネを落としていってくれる」というEDLPの喜ばしい結末をしっかり見抜いていたのだ。
この目論見は的中した。
粗利半分でも毎日来店してくれれば販売個数は3倍、4倍になり、最終利益は増加した。
だから在庫一掃セールだの日替わりセールだのをやったことがない。
当時から宣伝チラシを多用しなかったのも特徴だ。
競合店が年間50~100回配布していた宣伝チラシを月一回に減らして、そこから得たコスト削減分を販売価格の引き下げに充てた。
すべてを販売価格の低下のために振り向けたのだ。
この売り上げの約1%に相当していたチラシ配布コストの削減は大きかったとWトンは振り返っている。
①安く販売すること。
②ムダな経費を使わないこと。
③顧客を大切にする。
これだけを1962年からの40年間W社は、同じように繰り返してきた。
むやみな安売りの誘惑を断ち切る勇気が必要だったのはいうまでもない。
「バリュー」は使わない。
イオンは「バリュー」をSM子会社に名付けているほどだが、これに対してValue(価値)という言葉をPOPに決して使わないのがW流だ。
むろん、企業自体としては「顧客目線で、より顧客に価値のあるものを提供するために存在している」という強烈なポリシーで動いているが、この価値という言葉を意図的に客に言わないし表示しない。
それはなぜか。
その理由は、客に対してあいまいだと考えるからだ。
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